戦後の知立文楽・からくり支える
白寿の千賀龍師匠が語り披露
白寿を迎えた知立市義太夫会の師匠・豊澤千賀龍さん(99)が14日、パティオ池鯉鮒で開催の「知立の山車文楽保存会公演」で、素浄瑠璃『生写朝顔話』を披露しました。
1922(大正11)年岐阜県生まれ。戦後、名古屋で義太夫の稽古を始めました。師の豊澤団龍さんと知立まつりや各地の義太夫会に参加。83年に全面的に受け継ぎました。
「知立の文楽・からくりを後世に残すには、地元で語りと三味線弾きを育てなければ」と92年に知立市義太夫会を発足し指導。4年前に始まった「義太夫お試し教室」の講師も担っています。
公演を前に3、4時間の稽古をこなしたという千賀龍さん。当日は、約30分の演目を力強い声で語りました。
「おなかに力が入らなくて今日は30点」と厳しい自己評価。一番弟子で、この日一緒に卒寿の祝いを受けた板倉ミチさん(90)は「師匠はやると決めたら絶対やり通す人。来年の予定も、その先も語りたい演目をもう決めているんですよ」と千賀龍さんの人柄を話します。
千賀龍さんは「義太夫会はみんなが頑張ってくれたから今ようやく芽が吹いてきた。伸び続けてほしい」と期待を寄せます。
公演では、人形浄瑠璃文楽座の人形遣いで、知立の文楽を長年指導する豊松清十郎さんと、市義太夫会が『三番叟』で祝福。宝・山・中新・本の4町人形連が知立まつりさながらの演技で観客を楽しませました。
知立くらしのニュース2021.07.23掲載