広小路尚祈さん タクシー小説を発刊

 岡崎市出身の作家、広小路尚祈さんの小説「ある日の、あのタクシー」(名古屋市・桜山社)がこのほど発刊されました。タクシー運転手と乗客の一期一会の交流を描いた短編12話を収録しています。

 「伊勢・志摩」「静岡・島田・川根本町」「郡上八幡」など、中部地方を舞台にしたタクシー物語。運転手が自ら考えた観光コースで乗客を楽しませたり、乗客のふとした温かい言葉に心を和ませたり。そんな運転手と乗客の交流をはじめ、それぞれの町の風景が魅力的に描かれており、近隣の「蒲郡」の章には形原ブルーブリッジや西浦シーサイドロードも登場します。

 同作は、タクシー小説集の第2弾。前作の「いつか来る季節 名古屋タクシー物語」が舞台化されるなど好評だったことから、今作を執筆することに。広小路さんは「幸福をテーマに小説を書いてきました。人生があって、世の中がある。物語を通して、明るい気持ちになってもらえたら」と話しています。

 本は四六判、270ページ。価格は1600円(税別)。全国の書店やインターネット通販で注文・購入できます。

 広小路さんは1972年生まれ。高校卒業後、10種類以上の職種を経験し、20代に1年半ほどタクシー運転手として勤務。2007年に群像新人文学賞を受賞し、10、11年に芥川賞候補に。一昨年まで6年半にわたり、中日新聞朝刊でエッセー「炊事 洗濯 家事 おやじ」を連載。

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