知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第2話(後編) 伊能忠敬の天体観測 

 つかの間の休息時間に夕食。池鯉鮒宿本陣料理(1743年)は、ご飯、鴨肉の炒め物、海老の塩焼き、鮎の煮びたし、野菜の和え物、味噌汁、漬物と記載されていますので、伊能隊一行もほぼ同様の献立だったのでしょう。

 なお新鮮の海老は東浦から届けられて塩焼きにされ、池鯉鮒名物になっているのです。観測が控えているので伊能隊は飲酒厳禁。

 星が出始めるといよいよ測量開始。唯一残されている「浦島測量之図」によれば5人で行われています。忠敬は子午線儀を担当、象限儀は2人、残り2人は記録係。忠敬の大きな声が響く、「勾陣第3星(小熊座イプシロン星)まもなく南中」。象限儀係が灯の下で読み取り、「高度、65度23分45秒」などと応えながら書き写す。こうして、夜半まで測量が続けられたのです。

 好天の夜、池鯉鮒宿本陣跡に立って夜空を仰いでみませんか。そして、「四千万歩の男」、忠敬の偉業を偲んでみませんか。

(坂之上九門)

【本町に建てられている
池鯉鮒宿本陣跡の石碑】

(知立くらしのニュース 2011.7.16 掲載)

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