知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第3話(前編) 眉目秀麗・業平、八橋来る 

 知立市八橋町大流、「カキツ姫公園」。ここは在原業平朝臣が、東下りの道すがら、今に伝わる名歌を詠んだ場所として知られています。業平が八橋を訪れたのは858年(業平33歳)のこととか。835年には太政官符により架橋が命ぜられていたので、逢妻男川に蜘蛛の手に似た八つの橋が架けられ、旅人などに便宜が図られていたのでしょう。

 沢のほとりには杜若が咲き乱れて、それはそれは美しい風景だったと想像されます。そこへ眉目秀麗(現代風に言えばイケメン)、歌人としても知られていた業平が登場して、折句の傑作を詠んだのですから、街道の名所になったのも無理からぬこと。

 杜若という地域資源に、和歌という文化価値が加わり、さらには『伊勢物語』という情報伝達媒体が添えられた素晴らしい宝物。この宝物を、我がまち知立が受け取った幸せに、改めて感謝せざるを得ません。

(坂之上九門)

【業平が歌を詠んだ場所と伝えられているカキツ姫公園】

(知立くらしのニュース 2011.8.20 掲載)

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