知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第6話(前編) 芭蕉、池鯉鮒宿を詠む

  知立神社の大鳥居をくぐって、社務所の手前を左折。すぐ右手にあるのが芭蕉の句碑。趣のあるたたずまいに目を凝らす。
 不断堂川、池鯉鮒の宿農、木綿市、芭蕉翁
 案内によれば、句詠100年を記念して建立されたとのこと。したがって本年2012年は、句詠320年、句碑が建立されて220年に当たるのです。
 句詠されたのは1692年。とすると、芭蕉が木綿市を見たのは何時(いつ)なのか? 俄然気になりますが、1691年10月初旬ではないかと考えられます。
 7カ月に及ぶ『奥の細道』の長旅を終えた後、芭蕉はしばらく京阪で休養。その後江戸へ向かったのが、1691年10月初旬だからです。と言っても、それまでに4回池鯉鮒に足跡を残していること。また『奥の細道』の推敲に3年を要したという芭蕉ですから、一度だけの印象で、この名句を詠んだと断定するのは無謀でしょうね。

(坂之上九門)

(知立くらしのニュース 2012.2.18 掲載)

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