美人は遠くから愛でるべし -11-
このところ、夕焼けの西空低く、明るい星が輝いています。「宵の明星」金星です。英語名はビーナス、美の女神です。
大きさや構造は双子星といわれるほど、地球にそっくりの金星ですが、その実態は似ても似つかない惑星です。
太陽系で唯一、自転方向が逆回り。しかも自転速度は遅く、太陽を一周しても、金星の1日は終わっていません。分厚い二酸化炭素の大気で覆われた地表温度はセ氏460度、大気圧は地球では深海900メートルに相当する90気圧。大気中では硫酸の雨が降り、大気の上層部では秒速100メートルの風が吹いています。
美の女神の素顔は、厚塗り化粧(分厚い大気)で隠された高温、高圧に硫酸の雨、強風吹き荒れる、まさに地獄のような世界でした。どうやら、美人は遠くから愛(め)でるのが良いようです。
絵・文/安城天文同好会
(安城ホームニュース 2018.8.11 掲載)