知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない
第22話(前編) 屋根のない美術館
秋の一日、屋根のない美術館めぐりを楽しみませんか。まずは『時のかたりべ』という彫刻。太古の魚シーラカンスが、福祉の里八ツ田の玄関前に頭部を西に向けて設置されています。後方から見ると、尻尾が少し左に傾いているのが印象的。作者・原口潔さんによれば、「世の中には変わってゆくものがたくさんあるが、いつも変わらずに守り続けねばならないものもある。その象徴として、この作品を制作した」とのこと。
日本人によるシーラカンス捕獲第1号は1981年、日本人による世界初のシーラカンス海中遊泳の撮影成功は86年。作者・原口さんが、これらのニュースに感動して、88年『時のかたりべ』を銅の溶接で作ろうとしたことがよく分かります。
『時のかたりべ』は、平成12年から始まった「第1回野外彫刻プロムナード展」の展示作品。制作されてすでに26年、今も静かに時を刻んでいます。
(坂之上九門)
(知立くらしのニュース 2014.10.18 掲載)