知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第25話(後編) 横山大観、池鯉鮒を描く

 テレビの画面は、いよいよ池鯉鮒登場の順番。「池鯉鮒は描かれているのか?」と心配しつつテレビを眺めていると、屋根瓦と神社そして橋と川が、降りしきる雨の池鯉鮒として描かれているではありませんか。画題は「池鯉鮒・桶狭間」。著名な横山大観(たいかん)が池鯉鮒を描いていたとは! 青天の霹靂(へきれき)とはこのことです。
 合作絵巻のゴール地点・京都を描いたのは今村()(こう)。年長者の大観と観山(かんざん)は、次の時代を担う若者に最後の一筆を託したのかもしれません。だとしたら、粋なことをしたもの!
 それにしても、全9巻の長さ85メートルは空前絶後といってもよいでしょう。完成後に作品を購入したのは、美術品収集家としても知られる原三渓(さんけい)。購入金額は4000円(現在の2000万円相当)とのこと。
 4名の画家たちが池鯉鮒を歩いたのは、100年前の三河知立駅完成間近のころ。新築の駅舎を見たとしたら、横山大観は描き加えていたかも知れませんね。

(坂之上九門)

【大観が描いた池鯉鮒の橋と川の現在の風景(西町・逢妻橋)】

(知立くらしのニュース 2015.5.16 掲載)

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